躍進を続けるディスカウントストア、ドンキホーテ社長の大原孝治氏が、他の小売業を営む経営者と比べて決定的に違うことは、顧客優先主義を徹底していることです。小売業は商売ですから、少しでも高い利益を上げて儲けたいと考えるのは当然だといえます。

しかし大原孝治氏は、儲けることも重要ですが、その前に、お客様に買い物を楽しいと感じてもらいたいというところに重きを置いています。
実際にドンキホーテに買い物に来るお客様は、特定の何かが欲しいから訪れるというだけでなく、何か面白くて楽しいものがないだろうかという理由で訪れます。そのため店内に魅力的な商品を陳列して提供をすれば、お客様は自分から手に取って購入してくれることになります。売れ筋や安定的に人気がある商品はデータで明らかになりますから、それらは必ず陳列されていることが基本です。それ以外に、これから人気が出そうなものや、すでに口コミでは話題になっているけれど市場にはそれほど出回っていないものを仕入れることを心掛けています。そうすることによって、欲しいものを見つけたお客様の購買意欲を刺激することができ、それが結果的に売り上げアップにつながります。
その他にも顧客に買い物を楽しんでもらえる工夫として、欲しいものが手に取りやすい陳列方法を取り入れたり、アミューズメントパークのように店の端々まで歩いてもらえるようなディスプレイを心掛けています。できるだけ店内を歩き回ってもらうことによって、商品を手に取ってもらえる機会を増やします。